高い成長率、驚異的な利益率、そしてランキング上位常連となった高年収で注目を浴びるM&A業界。その中で大手M&A仲介企業の上場企業として知られるM&Aキャピタルパートナーズのトップランナーであり、今年度上位トップ3の年収を稼がれた橋場氏に、弊社代表取締役CEOの田中がM&A業界の仕事の価値と活躍される人材についてインタビューを行いました。

個人の力で勝負するスペシャリストを目指し、M&A業界へ

田中:橋場さんは業界大手のM&Aキャピタルパートナーズで、入社後史上最短・最年少で次長になられたとお伺いしましたが、まずはご経歴をお伺い出来ますでしょうか。

橋場:大学卒業後に大手メガバンクに入社しました。そこで、約5年法人営業に従事し、2017年に当社へ転職し現在5年目になります。

田中:大手メガバンクからの転職は周囲から見るともったいないと思うのですが、転職の理由は何だったのですか?

橋場:一番の大きな理由は、法人営業で担当していたお客様の期待に応えられなかったということです。大変懇意にしていたオーナー社長が高齢になり事業承継の問題が出てきました。当然、M&Aを考えることになるのですが、銀行の場合、私ではなく別の部門が担当することになります。大変懇意にしていた社長でしたので、私は直接M&Aのお手伝いをさせて欲しかったが出来なかった。
暫くして社長が亡くなったことを奥様からお聞きして、私ならもっとうまく出来たのに…と思ったのが一つの転機です。

田中:メガバンクは組織で動く傾向がありますよね。これは良し悪しではなく、組織で動くからこそ、ビッグビジネスが実現出来るということだと思います。その一方で、個を活かしていくことが難しいと感じられた訳ですね。

橋場:そうですね。組織の中のゼネラリストではなく、自分という個人で勝負をするスペシャリストになりたいという気持ちはありました。
加えて前職でM&A業界の将来性に気づいたという面もあります。先程お話した例を含め、事業承継に困るオーナー様は今後も間違いなく出てくると感じました。
社会性と将来性のある業界で、個を活かして仕事を行う中でスペシャリストを目指したい。やはりこれが大きな理由ですね。

最後は人の気持ちに寄り添い、新しい幸せを創造していく

田中:入社から約4年が過ぎ、M&A業界に変化はありましたでしょうか?

橋場:4年前と比較し、M&Aという言葉の社会的な認知は深まったと思います。ですが、まだ発展途上の業界で、色々と形を変えながら、業界として成熟の方向性を見定めている最中です。
M&Aの社会的認知が深まると共に、事業承継のご相談件数も増えていると感じますし、ビジネス全体の変化のスピードが早まり、新たな形の事業継承スキームも次々と生まれています。

田中:まだ未成熟な業界だからこそ、橋場様の様に若手から一気に活躍出来るという側面もあるかと思います。成熟した業界で20~30代前半が第一線で活躍するのは難しいですからね。このあたりにも史上最短・最年少で次長になられた理由がありそうですが、この4年間で、どんな案件を手掛けられたか教えて頂けますでしょうか。

橋場:お分かりだと思いますが、あまり詳しくは話せません…(笑)。

田中:そこを何とか。出来ればハードルが高かったケースで(笑)。

橋場:一例ですが、コミュニケーションのハードルが高かった案件があります。
譲渡企業が建設工事関連企業で譲受企業は同業の未上場企業の案件でした。オーナー企業同士のM&Aですね。ハードルは譲受企業のオーナー(意思決定者)と交渉中に一回もお会い出来ないことでした。
譲受企業の窓口担当者と交渉を進めるのですが、譲受企業オーナーの方の本音が分からないし、私の提案のポイントが伝わっているのかも分からない。
そこで、本来は担当者が作成する譲受企業オーナーに説明するための企画書(社内資料)を私が作りまして、渡すわけです。担当者の方が説明し易い様に打合せを重ねながら。

田中:M&Aに限らず、他の業界のプロフェッショナルな法人営業でもたまにある話ですね。参考になります。

橋場:これが最初の段階で、何度も提案を繰り返し、やっと契約が決まるところまで来たのです。でも、最終契約の段階で思わぬ方向によじれ破談を覚悟しました。売主オーナーはもういいという感じでしたが、ここでブレイクするとどんな影響が出るか、一度考え直してみたのです。
一部の重要な従業員にはM&Aの話は既に伝わっていて、ここで破談した場合、従業員からするとM&Aする価値も、魅力も無い会社なのかと勘違いされ、モチベーションが下がる可能性があります。
更に、そもそも売主オーナーが譲渡を考えられたきっかけとして、売主のオーナーのお母様が高齢で、これを機に一線を退き家族をしっかりサポートをしたいという理由があり、お母様もこれで安心出来るとその気になっていました。
M&Aが破談すると、従業員もオーナーの親族の方も将来幸せににはなれない可能性が高い。そこで自分の考えと想いを纏めた手紙を渡し、最後の最後に成約に至ることができました。

田中:きっと枠にはめた仕事のスタイルでは成し得なかったケースですね。

橋場:当然ですが、途中で破談したこともあります。製造業でオーナー様がご息子に会社を継がせるかどうかで迷っていたケースです。現状の会社組織のまま継がせると、経営責任を全てご息子に背負わせることになります。本当に大丈夫か?というお気持ちがあったのでしょう。
ならば大企業の傘下に入り、その上でご息子に社長を継がせることで、経営責任を軽減させ、同時に企業としても存続し易くなるのではないかという考えをお持ちでした。
これは色々あった末に、最終的にご息子が全ての状況を飲み込んだ上で、覚悟を決めて現状のままオーナーとして会社を引き継ぎたい。という熱烈な意思表明があり、オーナー様はご子息の覚悟を受けてM&Aを中止するという結果になりました。
私は譲受側の企業に行って「最後の最後にすいません」と謝りましたが、これはM&Aをしなくて良かったと思えたケースでしたね。

田中:御話を聞いていると、両方のケースで「関係者の気持ちの根っこに寄り添う」という橋場さんのスタンスが見えるように思いますが、そこは大事にされておりますか?

橋場:まず私は譲渡側・譲受側の両方の立場で寄り添っていくことを大切にしています。売主オーナーに対しては、M&Aが全てではない。
他にも様々な選択肢がありますというお話から始めます。会社の存続、従業員の雇用がまず大事で、M&Aありきの提案は絶対に行いません。
一方、譲受側はビジネスとして成り立つのかという視点を大事にします。事業会社の買収なら、事業のシナジー効果を重要視しますし、投資ファンドであれば投資を行う意義を大切にします。この両者の間に立ち、両方に寄り添い、フラットな立場で交渉を行い両者の想いを実現していく訳です。
結果として会社を守り、そこで働く従業員を守り、従業員の家族を守ることに繋がっていきます。ここが私たちの事業が提供できる大きな価値で、見失うと存在意義が薄れると思っています。

田中:一般的にはビジネスの視点を大事にするイメージが強いですが、事業承継は必ず人の気持ちが介在しますし、人の心を掴むのが最後には大事ということですね。もちろんこの仕事にはベースとして膨大な専門知識と経験が必要になりますが、それだけだとプロとしては物足りない、一歩突き抜けるにはハートの強さも必要ということですね。

密度の濃い経験を一気に詰める環境と風土

田中:大変素晴らしいお話だと思うのですが、世の中理想と現実は違うということも多々ありますが、そこは実際いかがでしょうか?

橋場:弊社は業界の中でも同業他社平均の数倍規模といったディールサイズが大きい案件を手掛け、全社平均で1人あたり2件弱の成約件数です。1つの案件に集中して取り組めます。
その中でしっかり利益を確保し、会社に余裕があるからこそ理想や本質を追求出来るという側面もあると思います。今は大都市圏中心ですが、今後は地方の案件も間違いなく増えていきます。
まだまだ成長が見込め、新しい取り組みや事例を業界に先駆け創り出すことに会社が積極的で、個々の想いを追求し易い環境もありますね。
各自が持つ案件を、どの様に進めるのかは自分次第ですし、基本的に自分で全てを決め、行動に移し、成功も失敗も経験していく中で、密度の高い経験を一気に積めます。私にはピッタリの環境でしたね。

田中:各部の構成はどうなっていますか。

橋場:新たに部長となる人材が輩出されたら独立した形で新しい部を増やしていきます。今では14部まであります。
こう話すと個人主義や一匹狼的な社風に思われるケースが多いのですが、実際は凄く面倒見が良い会社です。
複数件成約して成功体験を掴むまで、徹底してアポの同行やアドバイスを行いますし、その後も互いに、情報交換やサポートを行います。気持ちの通じ合う仲間の集合体といった感覚でしょうか。
私はこの会社しか知りませんから正直良く分かりませんが、同業から転職してきたメンバーが皆、口を揃えて「良い人が多い。コミュニケーションが取れる」と言うのでこれは間違いないですね(笑)。

田中:この業界に必要な知識と経験全てを兼ね備えている人はまずいませんし、変化も大きい業界だからこそ、面倒見が良くお互いをフォローする風土がある訳ですね。

橋場:加えて言うと、退職する人はほぼおりません。たまに違う道に進むために退職した人はいますが、個人的には応援しています。退職した仲間が開店したラーメン店に大阪まで食べに行きましたし(笑)。

田中:それは意外ですし素晴らしいですね(笑)。外のイメージからは見え辛い居心地の良さがしっかりある証拠かと。ちなみに周囲の方はどんな理由で転職されているのですか。そういえば最近は平均年収ランキングでずっと1位の会社ですが(笑)。

橋場:もちろん給与面に魅力を感じたという方もいます。私自身も前職の10倍以上の年収を上回ることが出来ましたので、嬉しく思います。ただ、転職理由は一つではなく、様々な要因が組み合って転職しています。
金融業界出身だと、私と同じように事業承継を目の当たりにしたが何も出来なかったという方や個人の力でキャリアを磨きたいという方が多いですね。その他ではM&A業界に将来性を感じたという別業界出身の方、家族に誇れる仕事をしたいという方もいます。

田中:有難うございます。正に、橋場さんは少数精鋭の組織の中で実績を積まれて、転職前の「自分という個人で勝負をするスペシャリスト」になるという目標を体現している訳ですが、M&Aに可能性を感じる多くの方に応募して頂ければと思います。
本日はどうも有難うございました。

橋場:こちらこそ本日はありがとうございました。