拡大を続けるプライベート・エクイティ(PE)ファンド市場。その中で、東証一部上場の経営コンサルティングファーム、(株)プロレド・パートナーズ(以下プロレド)のグループ企業として設立されたのが(株)ブルパス・キャピタル(以下ブルパス)です。その戦略や今後の展望、人材像を、代表取締役の梅村氏に弊社代表取締役の田中がインタビューを行いました。

◆バイアウトからバリューアップへ

田中:最初にプライベート・エクイティ・ファンド(PE)の現状をお聞かせ頂けますか。この10年で大きく変化したのではないでしょうか。

梅村:大きく変わりました。10年前はまだハゲタカファンドのイメージが残っており、世の中のPEファンドに対するイメージはあまり良いものではありませんでした。しかし、現在ではPEファンドの役割が徐々に正しく認識され始め、企業を良くするため、しっかりとした支援を行うための機能として日本でも少しずつ根付き始めたのではないかと思います。

田中:PEは会社や事業の買い手としてM&Aや事業継承に関わるケースが多いですが、そこも影響していますか?

梅村:以前と比較し、現在はM&A仲介事業が大きく成長しています。例えばM&A案件も、10年前は売上高数十億円以上の大きな企業が中心でしたが、現在は数億円規模の案件も多く、マーケットの裾野が広がっています。PEファンド側から見ると、イメージの向上と共に案件の引き合いが増え、ソーシング活動がやり易くなりました。

一方で、M&Aマーケット自体も変化しています。以前は情報の非対称性があって、企業価値の算定の仕方にばらつきが多く、PEファンドの立場からすると割安で買える会社も多かった。しかし今ではその様な案件はほぼありません。以前の様にいい会社を割安で買い、会社の業績をそれほど上げなくてもリターンが出た時代から、M&A後に会社の業績を上げなければリターンが出ない状況へと変化しています。

田中:PEファンドのリターンの源泉が「ソーシング」から「バリューアップ」に比重が移っている訳ですね。

梅村:会社の業績を上げる。当たり前のことですが、やはりここが重要です。そのためにPEファンドも変化しています。以前はバリューアップのために、資金を投じて外部コンサルタントにアウトソーシングするケースは、大規模案件でなければあり得ませんでした。しかし、現在では業績を良くしないと、PEファンドもリターンを出すのが難しくなっており、中堅・中小企業のケースでもバリューアップのためにコンサルティングを積極的に活用するケースが増えています。

◆属人性を排除した新たなビジネスモデルを展開

田中:正にその現状が、ブルパス・キャピタル設立に繋がっていると思いますが、会社設立の背景を教えて頂けますでしょうか。

梅村:プロレド・パートナーズでは、5年程前からPEファンドの投資先にコンサルティングを行っていました。ここで推進していたのが、属人性の排除です。今までのコンサルは何でも出来るスーパーマンに頼っていました。当然、出来る範囲はその人の属人性の中で収まり、マンパワーにも限界があるわけで、バリューアップの成果の再現性を担保出来るかが課題となります。

属人的な能力に頼る組織では拡大する中堅・中小のマーケットに対応出来ないので、プロレド・パートナーズでは、コンサルティングの業務内容を細分化・分業化し、各分野でエキスパートを育成する形をとることにより、再現性があり、スケール化できる組織を築き上げました。更に、フィー体系を完全成果報酬型にすることにより、利益の増加分しかフィーを頂かないため、PEファンドとは非常に相性が良く、PEファンドの投資先での活用が一気に拡大したのです。

梅村:一方、私は過去10年以上PEファンドの投資先等で、徹底的なハンズオンでのバリューアップを行ってきました。正にプロレドとは逆の属人的なスタイルです。私は経営をすることは間違いなく属人的なものだと思っていますが、その様な徹底的なハンズオンのスタイルに対して、プロレドが培った、属人性を排除したコンサルティングを掛け合わせることにより、今の日本にはない「バリューアップに徹底的にこだわるPEファンド」が創れるのではないかと考えました。

元々プロレド代表の佐谷とは同じコンサル業界出身として、個人的な縁がありました。日本では珍しいコンサル出身のPEファンドを本格的に創ろうと昨年の年初に話し合い、約半年後に設立ですからスピードも速かったですね。

田中:しかも固定費なしの成果報酬型でフィーとして頂くという方式でやってらっしゃいますね。これはファンドからすると結果が出なければフィーが発生しないわけですから、凄く有難い形式ですね。

梅村:バリューアップにフォーカスし、属人性を排除しているからこそ出来る形式です。ただ、属人的なやり方も重要であることは間違いありません。PEのファンドマネージャーが、ハンズオンで個々の能力で経営執行をやりながらも、いつでもプロレドのコンサルティングを活用することが出来る。

この両輪を上手く組み合わせることで、バリューアップのリソースやノウハウの蓄積にもレバレッジが掛かる。様々な手法で今までのPEファンドとは違う攻め方が出来るのではないかと思っています。

田中:実際に成果報酬型で既に累計100社以上に経営コンサルティングを提供し、1号ファンドも設立されていますね。

梅村:現在はコロナの影響もあって、金融機関のファンドに対する出資は厳しい環境です。ブルパスのメンバーは個人としての実績はありますが、そうだとしても、金融機関は初号ファンドに出資はしないというスタンスが殆どです。

しかし、先に話したPEファンドの環境変化、とりわけバリューアップの重要性が高まる中、私達はノウハウと経験を備えているという期待を頂きまして、初号ファンドにも関わらず複数の金融機関から出資を受けることが出来ました。弊社のLP投資家は殆ど、銀行・証券などの金融機関しかありません。金融機関からは初号ファンドでこれだけの出資は初めてです。と、言われることが多かったですね。やはり時代にマッチしていると改めて思います。10年前なら無理でしたね。

◆今のメンバーにはいないタイプの方を募集

田中:正に現在事業が急成長している段階ですが、現在貴社においては、どの様な人材が必要とされるのでしょうか。

梅村:既に9名のメンバー(2021/3/31現在)が働いており、PEファンド出身者、投資銀行出身者、コンサル出身者が1/3ずつ在籍しています。ファンドの規模が予定よりやや超過しましたので、1号ファンドでは更に+3~4名を予定しています。半分はトラックレコードがあるシニアの方、残りはM&Aやコンサルの経験を有するジュニアの方を採用する予定です。スキルを重視すると思われがちですが、一番大事なのは人柄です。もちろん芯に強いものがなければ務まりませんが、中堅・中小企業に経営ポジションで入って、根っこで信頼を得なければ成り立たない業務ですから。当たり前ですが正直で、誠実で、謙虚。チームで働ける方を求めています。

田中:とはいえ監査法人や事業会社にいる方がターゲットになるのでしょうか?

梅村:すぐに活躍し易い業界でいえば、投資銀行です。最初から財務モデルの組み立てが出ますし、M&Aの実務を習得しているためです。ただ、私達は数字を見るだけではなく、会社の優位性や競争力、成長性を見なければなりません。ここはコンサル出身の方が活躍出来ると思います。ただ、座学で補える知識の部分は、後でいくらでもキャッチアップすることが出来ます。

各分野のシニアのプロフェショナルが揃っています。月1で勉強を行い、シニアからビジネスの分析や財務モデルの作成、ファイナンスの日本トップレベルのスキルが身に付きます。私たちは様々な分野のプロフェッショナルの集合体で、同じ人を必要としません。ですから今いないタイプの方を幅広く募集しています。

田中:マインドの部分はいかがでしょうか?

梅村:我々の価値観への共有・共感がまず大事と考えています。「真に競争力のあるグロース企業を中堅・中小企業より数多く創出する」「ファンド投資を通じてプロ経営者人材を輩出するためのプラットフォームを創造する」。この2つのミッションを通じて、社会的意義がある事業を行っていきたい。ただ単に投資をしてリターンを得るのではなく、社会に何を残せるのかが重要で、我々が投資をさせて頂いた企業の競争力が上がると同時に、経営のマネジメント力が向上し、そこで働く社員が幸せになれる、そのような形を残すことを大切にしています。

◆事業を通じ、「プロ経営者」を輩出したい

田中:「プロ経営者」という言葉が出ましたが、私も数々の企業の支援を行う中で、今の日本に必要なのは「プロ経営者」と切に感じています。これは今の日本が抱えている後継者問題にも繋がってくると考えています。

梅村:自分の経験にも重なりますが、私は監査法人から実行支援型コンサル会社に入り、20代から経営ポジションの現場を経験させて頂きました。そこで見えてきたのは、経営は対人的な側面が大きく、経営を手掛けたという経験そのものがモノをいう世界ということです。しかし、現在の日本では経営者になろうとするとサラリーマンを勤め上げて、キャリアの最後として社長になるというルートが主です。これでは高齢化が進み、50歳でもまだ早いといわれる世界になるわけです。若手が経営者になろうとすると、ベンチャーで起業するのがメインルート。これとは別に、プロ経営者として若手から複数の会社の経営に関わるルートがあってもいい。PEファンドは、その新しいルートを切り拓くチャンスがあります。

田中:色々な経営者の方とお会いしていますが、40代はアグレッシブですが、70歳とか高齢になると事業意欲も薄れる傾向にありますし、後継者もいない。プロ経営者不在は本当に問題ですね。

梅村:世界各国の社長の経歴を調べたデータがありまして、日本を除き世界の経営者は若手からずっと経営者として歩んでいます。これが世界の主流ですが、日本だけ違う。初めて経営を手掛けた時には経験不足で判断ミスも生じます。しかし、2社目、3社目になった時にこの経験が活かせ、より的確な判断が出来るようになり、会社の成長に繋がるはずです。

田中:1社しか経験しないとなると、どうしても失敗を避け、安全策を選ぶ傾向になります。

梅村:プロ経営者は業界関係なく経営が出来る人と思っています。そのスキルが、今の日本で身に着けられる環境があるかというと疑問です。既に事業性が高く、マーケットもあり、利益もしっかり出ている素晴らしい企業で、実際に経営ポジションのニーズがあったりするわけですが、そこは現状クローズの市場です。PEファンドの投資のタイミングでは、特に事業承継案件において、経営者が変わるシチュエーションが多くあります。そこで若い経営者が挑戦出来る環境を創って行きたい。究極的には、当社はプロ経営者をどんどん輩出する事業でありたいと考えています。

田中:私はプロの経営者として大事なことが2つあると思っています。一つは倫理観、もう一つは平均より高い知性。これを満たす人は結構いますが、スキルや経験や年収に拘って可能性を潰している方が多いと感じます。全て出来なくていい。自分の弱点は埋めていく。そういう御方に是非PEファンド業界には来て頂きたいですね。本日はどうも有難うございました。

梅村:はい、こちらこそ有り難うございました。