2018年、豊富な知見と実績を持つエンジニア・九頭龍雄一郎氏により設立された株式会社ClayTech。株式会社T&INKキャピタルのエンジニア・技術顧問を務めています。

エンジニア不足とも言われる中、長年業界を見続け来られた九頭龍氏は業界の現状をどう見ているのでしょうか。業界の課題や今後のエンジニアに求められることについて、T&INK社代表取締役社長の田中と語って頂きました。

目次

出会いは3年前の仕事先

田中:九頭龍さんと出会ったのは、もう今から3年前くらいになりますね。私が社外CFOを担っていた会社で、開発プロジェクトのリーダーをされておりました。

九頭龍:ええ、そうですね。

田中:まずは、出会いからの至るまでのキャリアについてお聞かせ頂きたいと思います。

九頭龍:ずっとエンジニア一筋の人生です。ファーストキャリアとして、ヤマハに入社したんですが、起業病にかかって渡米しまして(笑)、サンフランシスコでスタートアップにジョインしたりしておりました。その後、アメリカの友人が日本で設立した会社にジョイン。ただ、結果的に私は抜けてしまいまして。その出来事がそれなりにインパクトがありまして、暫く世捨て人の様にプラプラしておりました。

その後、アメリカ時代にお世話になったエンジェルインベスターの方に声を掛けて頂き、画像診断の機械を作っている、東大発スタートアップとも言われている会社にジョイン。そのベンチャー企業に田中さんもお見えになられました。

田中:ただ、結局二人とも役割を果たした後、離れることになりましたね。

九頭龍:お互い様々な役割やスコープがありましたよね。ただ、私は様々な可能性を模索していたタイミングだったので、フルタイムでも雇用としても入らず、距離を取ったスタンスで関わらせて頂いていて。田中さんも似た様なものでしたよね。

田中:資金調達と投資家対応をメインに携わっておりました。僕は経営者に対しても、的確で経営として全うな指摘をする参謀タイプですので(笑)、そのスタンスとどうしても経営者と合う合わないがあるんです。九頭龍さんもそうですよね?お互い生真面目だから(笑)。

九頭龍:(笑)。田中さんのご経歴と仕事ぶりを目の当たりにした時、厳しい会社ばかりを相手にされて来たんだなと理解していたので、初めて関わられる会社に対しても遠慮せずに、関わられるのではなかろうかと想像しておりました。 

失敗から得る反省が足りない、現在のスタートアップ業界

九頭龍:これは業界の全体的に言えるかもしれない話なのですが、特に大学発スタートアップでは、ファイナンスが頭に入っている人がいないケースが多いように見受けます。開発に関しても、知識はある、論文もしっかり読み込んでいる、しかしながら、製品を実際にリリースした経験が乏しい方が多い。そのため然るべき落とし穴、今まで多くの人が落ちてきたのと同じような失敗をするんです。一方、田中さんを含め、経験豊富な方達は「これをやると終わる」「ここだけは回避すべき」が分かる。 

田中:なるほどですね。仰る通り、確かにその通りだと思います。

九頭龍:ファイナンス面でも開発面でも、そう言った経験が少ないのは厳しいですよね。ただ、時折に成功する人もいるにはいます。そういった社長は、大体非常に慎重派の方です。

田中:九頭龍さんにとって、いい経営者とはどの様な経営者だと思いますか。

九頭龍:例えば、5億円調達されておられるのに、数千円使うことに躊躇して考える様な経営者ですかね。逆に「よっしゃ、2・3億円使おっちゃおうか」みたいなパターンは経営者として、大変危険な兆候ではないかと思います。当然ながら、攻める時も守る時もあって良いと思います。私も両方やりました。どちらのケースにせよ、それをしっかりと意識したファイナンスの戦略がある方が良い経営者だと思います。しかしなぜ、ファイナンスが頭に入っていない人が多い状況にあるか。それは教育やメンタリングという文脈ではないと私は思います。失敗が少な過ぎることが一つの要因です。大学発スタートアップやヘルスケア、SDGsといった文脈に乗った会社に対して出資する方々が沢山いる。国もアカデミアも過度にサポートする。そういった日本のスタートアップエコシステムの傾向があるからだと見ています。

田中:カネ余りの兆候がありますからね。

九頭龍:はい。それで、どうなるかというと、起業家が循環しないんです。出資されて生かされちゃうので、死なないんですよ。乱暴な言い方になりますが、失敗したら創業1・2年であろうと廃業か破綻をさせなければならないと思います。そうすると、新しい起業家が更に出てくるじゃないですか。循環しないと、失敗が蓄積されません。シリコンバレーの1番の強みは、腐る程の失敗がそこら辺にゴロゴロ転がっていることなんですよ。

友人に、親戚中が起業家で、起業以外の選択肢を全く知らなかったという人がいます。彼は幼い頃から失敗談に触れて育ち、上手くいく人もいれば駄目な人もいると身をもって知っている。PDCAサイクルをかなりの数回しているとイメージしていただけたら分かり易いでしょう。それが重要なんですよね。

以前、渋谷のシリコンバレー化が上手くいきますかと聞かれたことがあるのですが、私は「いや絶対無理ですよ、20年はやらないと駄目でしょう」と答えました。会社を作っては失敗して潰して繰り返さないと。そのサイクルが阻害されていると感じることがあります。

田中:同意見です。資金がある以上は企業が続いてしまう。Debtの世界でも個人保証を負うとはいえ、失敗が続いて改善や改革を行う主体性は失われてしまうように思います。このサイクルや流れを止めないといけないと思います。

九頭龍:DebtでもEquityでも何となくの資金調達が実現して、何がまずかったのか反省しないまま、生き延びているのは、成長に繋がらない。何かが大きくまずかったはずなのに、考える機会がないまま続けられてしまっている状況は良くないです。

田中:技術エンジニアの方で、この歳でここまで経験と失敗を積み重ねて来た方を、私は九頭龍さん以外に知りません。卓越されたご経験から、きちんと正しい解を早く出せる人だと思っています。

九頭龍:こういう話をしているとね、エンジニアということを忘れられがちなんです(笑)。

田中:現在のスタートアップ界隈は軽いAIバブルが起きています。AIが付いていれば株価や時価総額が付き、将来的なPLやCFも立ち易いと考えるVCや投資家サイドの方々が非常に多くお見えになります。投資家にもAI審査の方が監査法人的には付き易いからと仰られる御方もお見えになられまして。

何でもかんでもAIにしろという流れがある中、きちんと冷静に見られていて、警鐘を鳴らされている所が凄いなと。経営×AIでいうと、AIでやれる領域、人間がやれる領域をちゃんと分けなければならないと私も思っているんです。

九頭龍:非エンジニアがAI、AIと浮き足立っているだけだと思ってはいます。私は大学院で数値シミュレーションを用いた研究をやっていましたが、例えば、IPCCの全天気候モデルはシミュレーションのパラメータを変えるだけで結果が変わります。パラメータだけでなく、それぞれの条件式を固定にするのか変動にするのか、複数のパラメータの因果関係を有りとみなすか無しとみなすか、こういった違いで。これは何も私が偉そうに言う必要はなくて、理系の研究者やエンジニアであれば誰でも知っていることです。文系の方も、理科の問題を思い出して貰ったらお分かりになると思います。「~は変わらないものとする」ってあったでしょう?あれ、「変わるとする」にするだけで答えは変わるんですから。

田中:確かに仰る通りですね。

九頭龍:田中さんが仰っている経営とAIの話で言うと、AIと仰々しく言っても要するに何かをインプットしたら何かのアウトプットが出てくるボックスを作っているだけです。そのインプットは何なのか、項目数はどうするのかといった点は人間が考えないといけない。アウトプットも、見るべきアウトプットはどれなのか、複数のアウトプットを合わせて分析すべきなのか、判断によって結果が変わると思います。全体をデザインするのは、結局のところ人間であり、AIはその上でひとつの便利なツールが出てきただけに過ぎません。

田中:日本人は聞こえが良いことに弱い面があり、本質を理論立てて説明されるのが苦手な側面があります。だからAI、AIと聞こえが良い方向に寄せていってしまうんでしょうね。特に、社内でそういった指摘を社員が経営者にするのは難しい。何しろ、生殺与奪の権を経営者に握られていますから。だからこそ、進退に影響のない我々の様な能力先行型の外部者の指摘が非常に大切だと思っています。

失敗体験がないと、経営は良くならないんです。資金調達できて喜んでいる発信をよく見かけますが、それは消費者金融でローンを借りたのと同義なんですよね。現預金を増やすことこそが経営。失敗して地獄に落ちて、それでもリベンジしたいと這い上がってくるくらいの循環を生みたいものです。

九頭龍:自分で利益を生んで再投資することが経営の本質ですからね。

田中:ええ。弊社の技術顧問として九頭龍さんにジョインして頂いたのは、技術サイドからここまでご理解を頂いているご経験と知見をお借りしたいと思ったからなんです。

九頭龍:基本的に話が合いますよね。ジョイン前から田中さんの元に来た製造業の特許絡みの案件のご相談を電話でお受けしていて。私としては友人ノリで電話して来て貰うだけで、構わなかったんですが、技術顧問としての枠組みを後から付けて頂きました。

田中:その他のClayTechの事業活動はいかがでしょうか。

九頭龍:ある程度目途が立つまでは、全部自分でやろうと思っていまして、コツコツ自社開発しています。それこそ、別の所で稼いだ資本で再投資したいなと。出資を受けてスピードアップした方が良いという意見も分からなくはないです。ただ、個人的にはスピードがないと負けることには、やる価値を見出していないんですよ。100年残る会社を作らないと意味がないという、ある種の死生観ですね。

田中:ああ、そうですね。M&Aで言うと、一番良いタイミングと時期に売却するのが良いという主張ですね。ビジネス、数字の世界ではIPOやバイアウトを目指して資金調達をし、広告費に回すやり方は正解なんですよね。ただ、事業の文脈だと不正解で、やはり国家や社会にとって本当に意義のある事業をやるべきだと私も考えています。

九頭龍:そう、だから、私個人は様々なことに挑戦しながら振るいにかけている状態です。動いてはいるけれど、リリースはしていない。というと、今度は「スタートアップを立ち上げないんですか」と聞かれるんですが。

田中:やられない?

九頭龍:元々そういうキャラじゃないので。私はコツコツモノ創りをしたいんです。ただ、家族もいますから、ちゃんと稼ぐのは必須。そこでオイシイものができそうな時に再投資して勝負するバランスですね。若い頃は何でもフルスイングだったんですが、今はもう大人なので、1番打者が出塁して、バントで送って……としないと点が入らないことを知っています。全員でバットをぶん回してもしょうがない。

就職するか、独立か。幸せになれるエンジニアの働き方

田中:スタートアップ界隈の経営者や投資家から、エンジニアが欲しいというニーズを頻繁に頂いておりまして、喫緊の課題だと感じております。エンジニア領域に詳しい九頭龍さんに、エンジニア側、雇う会社側双方を俯瞰したご意見をお聞きしたいです。

まず、伸びるベンチャーは経営と技術、どちらかに詳しくないといけないというのが私の持論なんですが、両方とも持っていない社長が多いなと感じていまして。そうなると、「良く分からないけどエンジニアを採ろう」となる。そういった会社は伸びないと思いますし、エンジニアも行きたいと思わないのではという疑義がありまして。

九頭龍:カルチャーフィットが高いところに行くのが1番いいと思います。そうでなければ、伸びないし続かない。私は個人的に第二新卒を取るのが好きです。

田中:染まっていないからですか?

九頭龍:それもありますが重要な点は、第二新卒の方は早期にひとつめの就職先をドロップアウトした方、つまり新卒での失敗体験があるので、悔いや渇望を噛みしめながら次を求めようというパワーがある。そういう方がフィットする会社に入ると伸びますよ。ただ、新卒1年ほどで辞めてしまっていると、一般就職市場では一律にネガティブに捉えられてしまうのが非常に勿体無いですね。

田中:エンジニアには雇用と独立の2種の働き方がありますが、そのあたりに関してはどう見られていますか?

九頭龍:まず前提として、エンジニアとして生きていくなら、一生学ぶ覚悟を持たねばならないと思います。初期に参画したスタートアップが成功してミリオネラになってエンジェルインベスターに転身して、、、などという人は、世の中の極めて僅かな層でしかありませんから。基本は、会社にジョインしたり、立ち上げたり、潰れたり、またどこかにジョインしたり。そうやってエンジニア人生を全うしていくんです。

さて、その前提に立ってエンジニアとして戦っていく上で、今の自分の実力と世の中で求められている標準値、または自分が到達したいレベルにギャップを感じているならば、できる限り一度大きな会社に入るのが良いと思います。

田中:なぜでしょう。

九頭龍:打算的な言い方になりますが、恐らくそのギャップの中間に位置する給料を貰えるからです。更に言えば、そのギャップを埋めていく時間まで貰えることが多いです。

例えば、一人でコーディングしているだけでは、グループとしての問題解決やグループツールの使い方を知らないままですが、コーディング力があってグループワークができていない人間が会社に入ってきたら、彼が早く戦力になれるように上司や周りのみんなが色々と教えてあげますよね。

またスキルと経験を積み重ねていくと、恐らく別のスキルが欲しくなります。例えば、フロントで採用があったからそこに入って一通り身に着けた。その状況で、次に興味があるのはサーバーサイドだな、そうすれば潰しも利くよな、となると、また新たなギャップが生まれる訳です。では、どうするか。ギャップを埋められる会社に移るわけです。キャリアデザインを、ある種アジャイル的にやっていくんですね。

田中:ギャップを埋め続けて、ほぼ無くなった時がフリーへの転身ですか。

九頭龍:その時には絶対フリーの方が数字が出ます。フリーになると、収入だけではなく学習速度も上がるんです。会社員時代に縦軸で伸びていたと考えると、フリーは横軸に広がっていくイメージですね。「こんなカテゴリーがあったのか」「こんな凄いエンジニアがいるのか」と気付きが生まれる。キャリア全体をデザインすることで、幸せになれるものだと思っています。

むしろ、ギャップが無くなった状態で会社組織に居続けてしまうと、会社の奴隷と化してしまう恐れが高まりますね。時間を経る毎に人間どうしても動きが重くなってしまうものですし。

今後、個人は弱くなる。エンジニアはどう生き抜けるのか

田中:採用時、経験を図るためにはどうしたら良いでしょうか。未経験の場合、どういったキャリアなら採用出来る等、判断基準はありますか?

九頭龍:ソフトエンジニアならテストで判断させて頂きます。それ以外のカテゴリーは少し難しいですね。あと私の場合は、エンジニアの育成に責任を持ちたいと考えていますので、私がメンタリング出来る所なら未熟でも素養の良い人を入れます。逆に、育成するスタンスが弱く野放しになるリスクがある会社ならそういう採り方はお勧めしませんね。

田中:「とにかくエンジニアを」という会社では、野放しになるリスクが高そうです。M&A業界の人材市場でも同じ様な状況にあるんですが、未経験者であっても素養があれば結果を出せるんですよ。その素養を判断するための20の項目を当社が作ってみたのです。そうすれば、例え未経験でも「意欲」や「素養」次第で転職後の活躍の場所も充分可能性があると考えています。

九頭龍:なるほど、直接M&Aのことを問うのではなく、抽象的な質問で素養を図るんですね。これは面白い。

田中:これをエンジニアでも定義できればいいなと思っていまして。

九頭龍:市場では人柄とかやり遂げる力とか、あまり役に立たない分析が行われていますからね。採用は数千人から一人を選び取りたい仕事なので、80点以上の人間200人より、1項目でもいいから120点を取れる人間を探すのがいいですね。

田中:能力は努力しないと落ちますから、毎年テストを受けて能力を可視化し、それを持って企業側に判断して貰える様になると、履歴書や職歴所が無くせる、無くなれば良いなと。結果に数字の世界を入れることで、自分が市場価値を出せる所が分かる世界を目指したい。ここの所を、今後一緒に作りたいと思っています。……と、私がやりたいことを話してしまいました。最後に、九頭龍さんがエンジニアに対して伝えたいことをお願いできますか。

九頭龍:ちょっと社会全体の流れの話になってしまうのですが。

田中:はい。

九頭龍:変な言い方に聞こえるかもしれませんが、これから個人がどんどん弱くなると思っています。これはコロンビア大学教授の著書に書かれていまして、さらに似たようなことを中世の哲学家、トマス・ホッブズも指摘していました。

中世の終わりに、資本主義思想が生まれました。そのモデル国家としてアメリカが生まれ、中国などの共産主義国家ですら結局なんやかんやとその真似をするようになった。この流れはもう止まらないでしょう。その結果が、社会保障や年金がないと生きていけないのが現代社会です。

アメリカでは、「死にそうなら死ねば」とでもいうような、個人の立場が弱くなった社会をすでに見ています。今後、日本もそうなっていくでしょう。ポスト資本主義だとかマルクス主義への回帰といった話もありますが、おそらく流れは変わらない。この前提を踏まえると、究極「何もなくても生きていけるくらい、個人で強くならないと生きていけない」と考えています。

田中:そうですね。

九頭龍:会社もない、社会保障もない、貯金はいつなくなるとも知れず、それどころか突然銀行口座ごとなくなることすらも想定内、というくらいの。そうなると、エンジニアは本当にしんどい。彼らは、自分で書いた1行のコードをお金に換える術を知らないんです。非常に立場として弱くなる……と言うと多方面から叩かれるんですが、だからこそ強くならなきゃいけないと言いたいんですよ。

田中:売るためのコミュニケーション能力を身に付ければいい?

九頭龍:そうなんですが、エンジニアはそういった器用なことができないからこそエンジニアになっている人が多いんです。じゃあ、どうするか。具体的にできることがあるとすれば正しいキャリアデザインをすることだと思います。

例えば、私は「今からAIエンジニアになるのはやめとけ」と言うことがあります。5年後にはですね、「AI土方」が流行ると予想してるんです。

田中:AI土方?

九頭龍:土方は差別的な用語なので、そうとは言わないかもしれませんが。AIの開発現場では膨大な知的単純作業が必要なんです。現時点では知的=特殊技能なのだけどいずれ機械化されてしまう作業。その作業要員ですね。

田中:そうならないためにはどうすれば言いでしょう。

九頭龍:嗅ぎ分ける力が必要でしょう。勘なのかセンスなのか分かりませんが、そこを磨いていないと死ぬ。そして、結局は「勉強を続ける」に行き着くんです。先ほどAIエンジニアを揶揄するような表現がありましたが、誤解のないように言っておくと、私はAIを極めることを全く否定しません。しかしそれは、人が作ったツールを使いこなしたり、過去の偉業をなぞるように単に社会実装していくことではありません。常に最新の技術に喰らいつき、大学の研究者よりも研究的なスタンスで、未踏の課題に挑み続ける。そのために勉強し続ける覚悟を維持することを意味しているからです。さて、そこまでやるほどあなたAI好きですか?という話で。
エンジニアでい続けるためには、常に新しい実績を携えていないと、古い実績では仕事に繋がらない。採用も厳しい。一度身に着けた知識やスキルで満足していたら、立場が弱くなることを自覚する。それで、やっぱり最後は「好き」です。しがらみを大切にしてほしい。

田中:しがらみですか。

九頭龍:稼ぎだけを考えるならこっちの選択なんだけど、それでもエンジニアをやりたいからやっているんだ、という様な。お金になりそう、バズりそうな方を選んでしまう人が、どうしても起業家などには多いという側面が否定できません。でも恐らく、エンジニアはそうじゃない人が比較的多いのではないかと。私の夢想でもありますが、むしろその方がエンジニアとしての人生、職務を全う出来ると思うんです。そういったエンジニアが増えて欲しいとすら願っております。

田中:多岐に渡り、非常に興味深いお話をありがとうございました。今後共に宜しくお願い致します。

九頭龍:もちろんです。本日は貴重なお時間をありがとうございました。